2025/06/06
【第2044回】
劇団桟敷童子「蝉追い」観てきました。1960年代、九州の炭鉱地帯を舞台にした家族の物語。すみだパークシアター倉に入った途端、鬱蒼とした森林に囲まれたセットに目を奪われました。このセットも劇団員が総力をあげて作り上げたものだ。外注に頼めば何百万もかかる規模だ。葉っぱひとつひとつに劇団員の魂が宿っている気がしてならない。
今回の芝居にゲストで山本亘さんが出演している。御年82歳になる亘さん、さすがの存在感である。亘さんとはおいらも2005年に共演したことがあります。ふたくちつよし作・演出「夕空晴れて」、風間杜夫、綾田俊樹、冨樫真さんたちと一緒にプロデューサーを兼ねて本多劇場、地方公演と旅した思い出があります。おいらは出演する気なんかなかったのですが杜夫ちゃんが是非一緒にやりたいというもんですから断ることが出来ず...。その時の亘さんは病を経て久々の舞台で悪戦苦闘の日々でした。稽古中の台本には数多くの付箋と書き込みがなされておりこの芝居に賭ける気持ちが十分に伝わってきました。長年のキャリアを積みながらも、まるで演劇青年に戻ったような姿に、この方本当に芝居が好きで好きでたまらないのだなと...だって、山本學、山本圭さん共々俳優三兄弟、おじさんは名監督山本薩夫。まさに芸能一家。芝居に対する姿勢は半端じゃありません。
今回、藤吉久美子さんもゲストで参加していました。まるで劇団員の一員であるかの如く立ち振る舞う藤吉さんの立ち姿も、彼女の人柄を感じました。
いつ観ても、この劇団の芝居創りには心打たれるものがあります。芝居の基本形は手作り、そして芝居をこよなく愛するハートでございます。
今日の紫陽花