2025/05/26
【第2039回】
先週の週末、シンガー・ソングライターの山崎ハコ「50周年記念&バースデーLIVE」有楽町ヒューリックホール東京に行ってきました。1975年にデビューし、フォークブーム後半をリードしたハコさんは今年がデビュー50周年で、今月18日に68歳の誕生日を迎えました。小柄で華奢な身体から発する歌には、彼女の人生で味わった思いが込められていました。生ギター一本で女の情念や怨念といった心情を土俗的なイメージとともに哀しく切々と歌い上げる姿に共感する根強いファンが、今でも数多くいます。
彼女がステージ上で語っていた言葉が印象的でした。50年間歌いながら、常に上手くなりたいという欲望が沸き上がるのだが、彼女はその声を跳ね返すように気持ちで歌わねばとテクニックを拒否したそうです。彼女の歌を聴きながら納得できました...表現の仕方は様々だと思いますが、ハコさんにとっては上手く歌うことは己に正直でないという取り繕いの表現を止めたんだと思います。山崎ハコでしかできない歌の世界を展開したかったんでしょう。
「呪い」という曲は本当に怖かった。呪いを込めて藁人形にくぎを刺すコーンコーンという擬音を交えながら、「そういう悲しい自分に釘を刺せ」との思いを歌にするハコさんの心情は彼女の真骨頂ではないだろうか。確かに暗い歌なのだが、身体からほとばしる強く伸びのある声はどこか未来の希望にも繋がっているように感じさせてしまう魅力。
この日は懇意にしている風間杜夫、竹中直人、原田喧太さんがゲストで駆けつけトークと歌で盛り上げていました。
新宿東口広場より