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かもめ来るころ

― 松下竜一と洋子 ―


【原作】松下竜一「豆腐屋の四季」他 
【作・演出】ふたくちつよし
【出演】高橋長英 斉藤とも子

2009年1月17日~1月25日 【初演】 ベニサンピット
2012年10月10日~10月11日 【再演】 亀戸カメリアホール

 

うちはあんたのために、生まれてきたようなもんやなぁ...


本作の主人公、松下竜一は大分県出身の作家であり、『ルイズ-父に貰いし名は-』で
第四回講談社ノンフィクション賞を受賞、骨太なノンフィクション作品から児童文学まで
幅広い文学活動で知られています。
代表的な作品「豆腐屋の四季」は故・緒形拳主演でテレビドラマにもなりました。
松下竜一の名作をなぞりつつ、彼と彼を支えた妻・洋子の半生をふたくちつよしが現代に甦らせます。
生後間もなく右目を失明し、若くして母親を亡くして家業の豆腐屋を手伝う松下竜一が、作家へと転身し、
やがて、豊前火力発電所建設反対運動へと関わっていく姿を描きます。
自然を愛し、時流に屈することなく歩んだ松下竜一と、それを支え続けた妻・洋子。
環境、家族の形が見直される昨今、二人の半生は一石を投じる作品になることでしょう。


【あらすじ】
若くして実家の豆腐屋を手伝い始めた松下竜一だが、豆腐を作ることもままならず配達先でも怒られてばかりの毎日だった。
そんなある日、初めて作った短歌が新聞にとりあげられたのをきっかけに、日々の思いや情景を短歌に託すようになる。
やがて松下竜一29歳、洋子18歳、二人は結婚する。
夫婦生活の傍ら、竜一は平凡な豆腐屋の1年を本に書くことを決意する。「豆腐屋の四季」である。
豆腐屋の四季は大ヒットし、テレビドラマにもなった。
ひっそりと豆腐屋を営んできた竜一と洋子の生活も一変する。
持て囃され、社会問題について意見を求められ、世間は竜一を模範青年と扱う。
竜一は、自分がそんな立派な人間ではないという葛藤に悩みつつも、世の中と関わっていきたいという気持ちが芽生える。
それは作家になりたいという夢でもあったが、長年営んだ豆腐屋をたたむことを意味する。
悩んだ竜一の背中を押したのは洋子だった。
洋子の支えのもと、竜一は作家の道を歩み始めるのだったが、同時に社会と繋がりたいと言った言葉のままに、様々な市民運動や公害問題に携わっていく...