【作・演出】山崎哲
【出演】佐野史郎 安達祐実
2001年10月16日~10月23日
シアターΧ
偶然知り合った若い男女が、職を捨て、放浪の旅に出た。
ふたりは車上荒らし、置き引き、空き巣狙いなどで食いつなぎながら、いつしか東京へと流れ着いた。
中学時代の同級生にお金を借りようとおもったのだが、その友達は帰省中だった。
ふたりはしばらくその同級生の部屋に潜りこんで暮らしていたが、いよいよ金に詰まり隣室に侵入、強盗殺人を犯して逃亡する。
だが、やがて逃亡生活に疲れ、潜りこんだとある別荘の中でガス心中を図った......。
数年前、実際に起きた事件だが、なぜかいまだに私の脳裏によく焼きついている。
ひとつはたぶん、個人として生きることに価値が置かれるようになった時代のなかで、ふたりが徹底してふたりだけの世界を、「対」の世界を生きているからだろう。
そしてもうひとつは、ふたりが卓上ガスのボンベで自殺を図ったからである。
そんなもので死ねると思ったふたりが、なんとも滑稽で、哀れでならなかったのだ。
『春』は、そんな事件をモデルにした物語(フィクション)だが、それに佐野史郎さん、安達祐実さんという最高のキャスティングを得て、いまわたしの頭はクラクラしている。
―作・演出 山崎哲―