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【第94回 〜風間杜夫ひとり芝居アメリカ公演録〜】
<6月21日>
成田発17時56分のフライトで一路サンフランシスコに出発。機内は8割がアメリカ人(勿論なかには他国の人も混じっているとは思いますが)2割が日本人(勿論なかには中国、韓国人もおりましょう。まずは9時間と云う時間に参った感があったのだが、ここは諦めるしかない。案の定、機内では一睡も出来ないのは仕方ないにしても、なんでこんなに冷やさにゃいかんのよ…おいらは西瓜じゃないんだよ!でも皮下脂肪モリモリの外国のお方は平然と半袖のシャツでボリボリなにかを食っている。またまたデブになるのに…と要らぬ心配をする。サンフランシスコ時間11時59分に無事到着。現地コーディネーターの松尾、前村両氏の出迎えでアメリカ公演スタート。一睡もしてないと言うのに、早速ゴールデンブリッジ、フイッシャーマンズワーフやらを観光。夜はイタリヤ料理を食べた後、ミュージカル「キャバレー」を観劇。あのライザミネリのものとは違ってユーモアと皮肉を効かした劇。途中なんどもこっくりさん。だって一睡もしてないんだもん!この夜は爆睡。
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<6月22日>
昨日、熟睡したこともあり午前中サンフランシスコの街を散策。綺麗な街であるのだが、なにせ歴史の無い町。建物に威厳がない。人も歴史と共に歩むのか刻み込まれた顔の表情がヨーロッパの庶民の顔に比べて、少々薄い気がする。街に溢れたホームレスの人達の厳しい面構えが印象的だ。そのほとんどが黒人だと言うことも格差社会の表れか?夕方からレセプション。サンマテオ前市長に混じって、西武ライオンズの嘗ての助っ人四番バッター、テリーが居たのにはビックリ!今は地元で野球教室をやったりバッティングマシーンの販売をしているらしい。ライオンズファンのおいらとしては感激。ホテルに戻る途中に前村さんがサンフランシスコジャイアンツの本拠地である球場に寄ってみようか?と言うことになったのがラッキー!球場内に入った途端にボンズのホームランを目撃。9回のヤンキースの攻撃には松井の打席にも遭遇。8回から見たのだがフリーパスで入場無料のおまけ付き。野外で繰り広げられるナイター、鐘や太鼓はもちろん、集団による応援も無く各々が好き勝手に野次を飛ばしたり、拍手したりで野球の持つおおらかなスポーツの原点を見た感じで昔、少年時代に西鉄ライオンズに熱中していた日々が甦ってきた。
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<6月23日>
今日はいよいよアメリカ公演の初日だ。おいらも緊張感一杯だが、風間さんはそれ以上に違いない。大学に構内の中にある劇場はなかなか立派なものである。前日から仕込みに入っているスタッフが立て込んだセットも万全と言いたいところだが、肝心の字幕がスクリーンの所為か両端が見づらい。今日は仕方が無い。開演30分前、午後7時に開場。ぞくぞくとお客が入ってくる。ほとんどが日本人だ。松尾、前村さんが集めてきた客だろう。2割のアメリカ人も交えていよいよ開演。待ってました!風間!おいらの気合を入れた掛け声でスタート!いやいや、ぶっちゃけ馬鹿受け!日本より受けたんじゃない?てな具合。お客も満足気で劇場を後にする。劇場近くの中華レストランで初日乾杯!
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<6月24日> この日はサンフランシスコの中心街を散策。6月下旬だと言うのに何となく肌寒い。黒人のホームレスの姿が目に付く。日本にもある大型CD店でJAZZのCDを物色するが思ったほど安くない。公園に集う人達の表情がサンフランシスコの陽を受けて明るい。二回目の公演も無事終了。サンフランシスコでも有名なステーキ店で食事。アメリカの食を代表するステーキであるのだが日本の方が美味しいではあっりませんか!とにかくあらためて日本の食文化のレベルの高さに只々脱帽の限りです。帰りに若者が集まるバーに立ち寄る。広いホールで生バンドが入り数人の男女が踊りだす。負けてなるものかと、おいらも輪に入る。昔スペインで大道芸をやりスペインを旅していた頃を思い出す。
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<6月25日>
サンフランシスコも今日でお別れだ。空港に着くと、今回お世話になった松尾さん夫妻が見送りに来ていた。前村さんも含めて海外で素敵な日本人に出会えることも楽しみの一つだ。デトロイトまで約5時間弱で到着。機内から見下ろす風景は荒野。アメリカはでっかいぞ!を実感。この日は、早く劇場入りして仕込みをしているホールを下見したあと、今回のデトロイトの世話人である領事館の初沢さんと食事会。サーロインステーキに挑戦するも見事に失敗!
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<6月26日>
夜8時の開演まで時間があるので、デトロイトにあるフォード博物館を見学。馬鹿でかい敷地に年代ものの車、飛行機、機関車が置いてある。ケネディ大統領が暗殺されたときの車、リンカーン大統領が暗殺されたときの椅子など貴重なものがなんでデトロイトに?と言う気もするのだが。この日の公演はスタンディングオベーションが起るほどの出来。風間さんも満足そう。デトロイトでの初日・千秋楽祝いを日本料理店で開催。やはり鮨、刺身は美味い。このデトロイト、広い敷地にゆったりとした家があるのだが、刺激が欲しい人にはどうかな?でも静かにのんびりと過ごしたい方にいいかもよ…
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<6月27日> さあ!いよいよニューヨークに出発だ。この日が悪夢の日になるとは思いもよらなんだ…なかなか素敵なホテルで過ごした後、午前11時には空港に到着。予定通りに午後1時半出発の機内で待機していたのだが、機械の不備のアナウンス、続いて天候不良のために一端機外に出される。ロビーで2時間ほど待っていたのだが、遂に飛ばず!その日の代替のフライトも無く、なんと次の日に風間さんが午前8時。おいらは午後9時…おいおい明日はニューヨーク公演の初日だよ。おいら風間グループ5人さてどうしたものかと対策会議。ニューヨークに先乗りしているスタッフと連絡しながらも一抹の不安。デトロイト〜ニューヨークまで車で行くか、列車で行くか?あれやこれやと相談した結果、結局デトロイトに泊まることに相成ったのであるが肝心の荷物があっりません!ノースウエストに聞くが大混乱中情報が定かではない。挙句の果てには、機内に預けた荷物は一切返却しないとのこと。参りましたのこと…そんな大変な状況にありながら何故か平然としているアメリカ国民。われら大和の国の人は、頭も下げない、謝りもしないノースウエストの関係職員に怒り心頭。会社が紹介してくれたホテルに着いて、又もや一悶着。ガムをクチャラクチャラ噛みながら仕事がノッソリ、挙句の果ては予約した部屋数が足りない。思わず、おいらと風間さんが通訳係りの大迫さんを挟んで美人受付嬢に睨みを効かし「ふざんけんじゃないよ!」とおいらが恫喝。われわれの怒りの感情をとりあえず伝えなきゃ…その日はホテルのレストランで酒飲んで寝るしかない。田舎風のホテルでなんともうらぶれた気分になってしまう。着替えのパンツもないし…もしや、飛行機会社とホテルが結託して仕組んだ仕業かもね?
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<6月28日>
眠られぬ一夜を過ごした次の日、領事の初沢さんの話によるとノースウエスト会社のパイロットがストをしてるらしくダイヤが大混乱中とのこと。そんな不安を心配してニューヨークのスタッフが午後9時出発というおいら達の便をキャンセルしてコンチネンタル社の11時20分発を急遽予約。それよりも肝心要の風間さんの便が予定通り飛び立つのか?これが最優先である。出発の電光掲示板を祈るような気持ちで凝視した甲斐があったのか、無事飛び立ったことを確認。ほっとする間もなく11時出発の大迫さんの便がキャンセル。ノースウェストいったいどないなってんのや!昨日から頭にきどうしやけど何故かアメリカ人はおとなしい。こんなことよくあるのかしらね…と用心深いのが日本人なのよ。おいら達の便と一緒に大迫さんの分も買っておいたのよ。なんとこの便60人乗りの小型便で満杯、ほんまに良かった!ようやくニューヨークに到着。荷物は何故かノースウェスト機便が到着する空港に着いていた。荷物より人だろうが!まったく人をおろそかにするアメリカ社会に腹が立つ。この日の公演、さすがに風間さん睡眠不足で体調不良の中での芝居であったがなんとか無事、舞台をあい勤める。
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<6月29日>
この日、やっとあのタイムズスクエアを散策。ホテルがブロードウェイの劇場街にあったので雰囲気は最高。でも食べ物は、やはり日本食を食べたくなる。だって不味いんだもんアメリカンフード。おいらが昔からマック、ケンタッキーフライドチキンを食べなかったことが証明されたようなものだ。
鮨はうまかったが値段は日本の三倍。こりゃアメリカには住めません。いやあんまり住みたいとも思いませんこと。この日の公演はアメリカ公演のラストと言うこともあり風間さんも絶好調。最後はスタンディングオべーション!終わり良ければすべて良し。大成功のうち打ち上げ。
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<6月30日>
今日は全員フリーの日。午前中はセントラルパークに行きました。ここはいいですね!やっぱり自然が一番ですわ。午後はミュージカル「マンマ・ミーア!」を観劇。日本のミュージカル嫌いのおいらもこれは納得。やっぱり本場ですわ!夜はブルーノートでジャズ。このコースはおのぼりさんコースかな?でもアメリカってこんなもんでしょう!と独断と偏見でまとめてしまう。最後は日本レストランで締め!めでたしめでたし!
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<7月1日>
いよいよ帰国の日が来ました。ニューヨーク発12時40分発。成田7月2日15時40分着。13時間ちょい狭い飛行機の中は辛いね…救いは全日空のフライトだったこと。寒くもないし、親切だし、日本食だし…やっぱり日本はいいね!風間さん、スタッフのみなさんお疲れ様でした。そしてアメリカで関ったみなさん本当にありがとう。
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