【第141回】
本屋さんに行くと良く見ませんか?こんな風景。
先日、新宿ジュンク堂書店で発見!年は30歳くらいのメガネ男。いかにも神経質そうな顔でありんした。村上春樹コーナーに平積みした「海辺のカフカ」の文庫本を買うのは決意しているのだが、どれにしたらいいのか迷っておりんした。どれにしたらいいかって?おいらにしたら同じであろうに…と思うのだが、この兄さん、何度も、何冊も、品定めしておりんした。何を見てるかと言うと、断裁がきちんとしてるか?ペラペラとページをめくっているので、もしやページの番号を確認?そりゃ!ないでしょう…次は本を目線に持ち上げて表紙を見てるではありませんか…こりゃなんじゃい?表紙の光沢度のチェックかな…平積みされた「海辺のカフカ」に容赦なき身体チェックが続く。なんだか文庫ちゃんの悲鳴が聞こえてきそうな位のしつこさ。「おめえなんぞに買われたくない…」「そんなにしつこく見ないでください!代官様」なんだか時代劇に出てくる、助平そうな悪代官が貧しい農家の娘を、年貢の肩代わり連れて行くシーンを連想させやした。おいらの視線に気付いたのか、しばし平静を装っておりんした。おいらはこの男のささやかな楽しみの邪魔をしちゃいけないと思い、その場を立ち去りんした。本に向かい合う時は、りんとした佇まいで…
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