【第465回】
名優、いや怪優、いやホンマモンの俳優、三國連太郎さんが亡くなった…20代の頃、当時、三國さんが住んでいた神楽坂の自宅に何度か遊びに行った。三國さんの付き人をやっていた友人と共に訪ね美味しいものを食べさせて頂いた。食卓には5才の佐藤浩市がちょこんと座っていた。今でも記憶の残っているシーン…その日は、友人と僕と友人の知り合いの若い女優さんと食事している最中、突然、三國さんが吹出し、ご飯粒が女優さんの顔に飛んでいき貼りついた。すかさず三國さん、優しい笑顔と色気たっぷりの大きな瞳で彼女の顔に手を伸ばし、張り付いたご飯粒を一粒一粒採っていった…まるで彼女を犯していくような光景であった。その後、三國連太郎さん座長の芝居にも出させて頂き、その当時無名であった風間杜夫さんとも運命的な出会いをした次第だ。その後も何度かお会いしたのだが、この方は私的に付き合う人ではないなと感じた。三國連太郎は、あくまで三國連太郎としてのみ記憶すべきだ。最期まで演者として、試行錯誤の旅人ではなかったのではなかろうか…それにしても、今後こんな俳優は出てこないだろう。
合掌
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