【第507回】
スペイン映画、鬼才ペドロ・アルモドバル監督「私が、生きる肌」を観る。いやいやこの監督「『トーク・トゥ・ハー』『バッド・エデュケーション』『ボルベール<帰郷>』いずれもスペインの風土からしか生れない作品である。映像、音楽のセンス抜群である。やはり、ダリ、ピカソ、ミロ、ガウディを生み出した国である。日本人が好きなお涙頂戴は無いんだが、人間の深く濃密な情念が、まるで極彩色に彩られてスクリーンから漂ってくるんですな…話が凄い。主人公である医者(アントニオ・バンデラス)が、自殺した妻のことを忘れられず、自分の娘を強姦しそうになった若者を誘拐し性転換手術と皮膚の入れ替えで亡き妻とそっくりにしてしまう。そして…話しちゃうとつまらないので、ここまでにしときますが、いやいや画面に緊張感があります。それに比べて残念ですが、日本映画はお子様ランチです。時間を掛けてない(企画から撮影を含めて)俳優の存在感が違います(海外の役者は舞台からじっくりと演技の基礎を学んでいます。日本は常にテレビで人気が出た人を重宝します)今の日本の置かれた状況からいえば仕方ないかな…文化に対する意識はかなり低いです。劇場、映画館、コンサートホールに行ってもほとんど女性。男共は仕事優先、終われば赤提灯で上司、会社の罵詈雑言で憂さを晴らす始末…だから、政治家、官僚に嵌められっぱなしの国なんでございます。
2020年東京オリンピック決定に、浮かれてる場合じゃございませんことよ!
己の感性、感覚、知性、体力を鍛えて、来たるべき日に備えよ…
でも、来たるべき日っていつよ?そんな日来るの?
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