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【第537回】


今年最後の公演「あとは野となれ山となれ」東京芸術劇場で無事千秋楽を迎えました。10月21日、鹿児島県徳之島での初日ですから、ほぼ二ヶ月近くの長丁場でありました。台風には遭遇しましたが、事故もなく無事公演を終了できたことに感謝!芝居は生ものですから旅も含めて一瞬一瞬が勝負です。ちょいと油断いたしますと、大変な事になってしまいます。これまで19年間、大事に至らなかったのも芝居の神様が見守ってくれたんですね…トム・プロジェクトなくして演劇界は成り立たず(ちょいと手前味噌、かなり傲慢かな?)…今年もキャスト、スタッフ、社員の皆さんの誠実なお仕事振りで、全国の多くの観客の期待に応えることが出来ました。
東京公演は池袋。この町は、おいらがほぼ半世紀前に上京し、練馬の新聞販売所に住み込んでいたときの最初の歓楽街。今や世界の食堂になった大戸屋も、ここ池袋で産声を上げ、おいらもよくさんま定食食べてました。お寺の敷地にあった小劇場で三島由紀夫の「卒塔婆小町」を上演したところ、自決直後で右翼の脅しを受けながら、毎日決死の覚悟で舞台に立っていました。恋をして、今もある大衆居酒屋「ふくろ」で安酒飲んで大層な夢を語っていました。街には、青春の甘酸っぱい想い出が詰め込まれています…あの日、あの時の記憶が甦る街であって欲しい!そんな淡い期待を裏切るように、今日も街はモダンに、華やかに虚飾に満ちた街に変貌しています。頑張れ!昭和の面影を残す居酒屋!なんて掛け声をかけながら池袋を後にしました。

 




東京芸術劇場の天井



劇場前での野外コンサート

 

2013/12/16  岡田潔