バックナンバー第599回

591.592.593.594.595.596.597.598.599.600 >>トップへ

【第599回】


何処で生きても 風が吹く
何処で生きても 雨が降る
何処で生きても 雨が降る
何処で生きても ひとり花
何処で生きても いつか散る

去年の8月に飛び降り自殺した藤圭子さんの「女のブルース」の歌詞である。昨日、たまたま飛び降り自殺した新宿西口の高層マンションの近くを通りかかった…44年前、彼女がデビューした時、これもたまたま秋葉原のレコードショップの店先でキャンペーンしてるところに遭遇した。色白の可愛い顔の中にも、ぞくっとする少女の色気を感じたことを鮮明に覚えている。当時、作家の五木寛之が、この時代の人々の心に宿ったルサンチマン(負の心情)から発した歌であり、まさしく怨歌である。なんて発言したもんだから、庶民、知識人まで乗っかって時代の寵児にのし上がっていった。芸能の世界は人格まで変えさせる魑魅魍魎の魔界。この流れに流されまいと、彼女も必死な闘いをしたに違いない。でも自然界の法則「何かを得れば、何かを失う」この鉄則には逆らうことは出来なかった。東北で生まれ、北海道で育った貧しい少女が、名声と富を得た東京を「女のブルース」でいみじくも歌っている。

ここは東京 ネオン町
ここは東京 なみだ町
ここは東京 なにもかも
ここは東京 嘘の町

 




新宿西口

 

2014/7/10  岡田潔