【第696回】
雑司ヶ谷鬼子母神に建てられた紅テントに足を運んできました…新宿花園神社におどろおどろしいテントが現れて約半世紀。おいらが博多から上京して間もないころでした。神社の境内に建てられた状況劇場紅テントもさることながら、テントに登場する役者人が強烈でした。唐十郎、李礼仙、麿赤児、大久保鷹、四谷シモン…日常をはるかに超越した異形者が所狭しとテントの中で暴走していました。でも、唐十郎が紡ぎだす言葉は、今まさに繭から発する研ぎ澄まされたシルクのような台詞がテント内に響き渡り、暫し夢見るロマンの世界に誘ってくれました。
それから半世紀近くにわたって、テント芝居にこだわって演劇してるんですから敬服するのは当然です。おいらも芝居にかかわるようになって、いつも唐さんがやり続けている志を忘れないようにしています。
雑司ヶ谷で上演された「透明人間」も、しっかりと唐十郎さんの世界を継承していました。演出、役者、見事です。役者の原点は河原乞食、荒ぶる魂と、底辺に蠢きながらも心情溢れる透明感を表現する唐組、いつまでも応援したくなります。
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