トムプロジェクト

2015/12/28
【第767回】

今日は仕事納め...今年もいろんなことがありました。何度も危機がありまして、おいらのおめめもウサギちゃん状態になりました。こりゃ駄目だ!と思いきや無事乗り越えることができたのも本当に芝居にかかわっているすべての人たちの必死な力によるものだと思っています。この必死の力も、こちらが必死の力で何とかしようと思ったから生まれた力だと思っています。すべからく、己の思い、アクションがそのまま自分に返ってくる自然の原理だと思います。何事も最後まで諦めてはなりません...考えてみれば生きることは選択の連続です。しかも瞬時に判断しなくちゃいけないこともあります。その時の判断で可否が決まる局面が多々あると思うのだが、その根拠になるのは、やはり日々のモノの見方、考え方だと思います。この世の中のほとんどが表層だけで動いているだけに、モノの本質が見えにくくなっているのも事実です。そんな複雑怪奇、巧みに仕掛けられてる現代社会で本質を掴み取るのは至難の業かもしれませんね...そんななか、おいらは決してあきらめず今日もアンテナ百本立てながら、眼を皿にして路上を車中を公園を、はたまた他者が仕掛けたホールに闖入し、なんでだろう?どうしてだろう?の旅をしています。この旅はおいらにとってかけがえのない楽しい旅です。

なんだかんだいいながら今年も精一杯生きることができました。おいらにかかわった人たちに感謝の気持ちで一杯です。

では、みなさん良い年を!

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裸木

2015/12/25
【第766回】

昨日、風間杜夫、平田満コンビが33年ぶりに復活した、つかこうへいの名作「熱海殺人事件」を新宿紀伊國屋ホールで観劇。風間杜夫66才、平田満62才、こんな歳でも2時間速射砲のごとく吐き出す台詞にただただ圧倒されました。つかこうへい独特の文体、差別用語有り、げすな言葉に、自虐、加虐、時折放つ時代への反逆精神、まさしくつかワールドの集大成みたいな作品であった。共演者のつかさんの愛娘で元宝塚娘役トップ・愛原実花、若手のノリノリ俳優の中尾明慶も大奮闘。二人のベテラン俳優に遜色ない素晴らしい演技であった。新感線の演出家いのうえひでのりも、自らの演劇の原点である作家の作品だけにその思い入れがたっぷりに込められていたような気がした。

でも、チケット¥9000は高くありませんか?こんな高いチケットも発売と同時に23ステージ分完売しちゃうんだから、たいしたたまげたの世界でございます。

終演後、杜夫ちゃんと一杯やったんだが、さすがにあれだけの台詞を喋っただけに、いつもの饒舌さを押さえ、明日の2ステージの備えているようでもありました。

新宿東口アルタの前では、いつものようにストリートミュージシャンがイブの夜を盛り上げていました。懐かしいスペインの曲が流れてきたので、思わずカンパしました。どんな人にも素敵なイブでありますようにとの願いを込めて...

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Merry Christmas

2015/12/21
【第765回】

今年も残すところ11日になってしまいました...今年はおいらの友人、知人を含め多くの人が亡くなりました。死者とは、もう話すことができないと思いきや、おいらが今日こうして書いている言葉も亡くなった人たちにも届いていると思います。文字を考え記す行為は、おいら自身の表現であるよりも、どこからかおいらに訪れる言葉を、聞きたい感じたい人に届ける作業のような気がします。おいらが書いた文字が誰にも読まれていないという事実があれば、この言葉はかなり貧弱な言葉になるのではなかろうか...おいらと他者との言葉の通路があるからこそ、その通路で事の葉が付き、言葉として成立するのではなかろうか...おいらが発する言葉、文字は亡くなった人たちにも届いている筈だ...先週の週末に観た2本の芝居の感想を知人に聞かれ、答えた言葉が10月に亡くなった友人である演劇評論家、村井健が一瞬憑依したかのような発言をしてしまった感がある。おいらと村井が言葉の通路を往来していることがすこぶる嬉しかった。人は現前の生きてる身体に、さもすると安心してしまい真実を見逃してしまいがちだ。

すべてのみえるものは、みえないものにさわっている。

きこえるものは、きこえないものにさわっている。

感じられるものは感じられないものをさわっている。

おそらく、考えられるものは、考えられないものにさわっているだろう。

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クリスマスイルミネーション2

 

2015/12/18
【第764回】

新宿の進学予備校の近くにサンタの格好をしているホームレスのおじさんが居た。このサンタさんのところに4人ばかりの少年少女が集まっている。好奇心旺盛なおいらは近くに寄り様子を窺う。なにやらおじさんとお話しをしているのだが、終始双方にこやかな表情で打ち解けてる感じだ。すると、子どもたちが手を合わせてサンタおじさんにお願いをしている。おじさんも仕方なく頷くと、子どもたちは一斉に、おじさんの生活用品一式が入ってると思われる頭陀袋にサインをし出した。おじさんは何とも嬉しそうな表情でサインをしている子どもたちの頭をなでている。こりゃなんだ?最後は子どもたちがおじさんと握手をして立ち去っていった。この奇妙な光景においらが突撃取材をしないわけはない...おじさんの前にたちはだかると、あのにこやかだったサンタおじさんの顔色が険しくなった。「いやいや、怪しいもんじゃござんせん(当然、あんたのほうが怪しいだろうとおいらは思っとりますが)何かをやられてる方ですか?」するとおじさん、おいらの顔をまともに見ることもなく首を振る。ホームレス生活も長いのか手も顔も決して綺麗とは言えないし、サンタの衣裳も随分とくたびれている。あんまりしつこく聞くのも失礼だと思い、最後に「記念に写真一枚とらせて頂けませんか?」と断られるのを覚悟して頼んでみたのだが、なんとなんと、それまでの迷惑そうな表情から一転して喜々として要望に応えてくれたからおいらもびっくりこきました。

それにしても、このおじさんはなんなんだろう?おいらが推測するに、このおじさんの頭多袋にサインした者が難関校の受験に合格し、その験を担いで子どもたちはサンタさん参りをしているのではなかろうか...と思いながらサンタおじさんの撮影した写真を確認したのだが、なんと消えてるではありっませんか!いや、このおやじひょっとしたら神かもしれませんぞ...

764-1.jpg764-2.jpg東京オペラシティ
クリスマスイルミネーション

2015/12/16
【第763回】

今日は朝から嬉しいニュースが飛び込んできました...第50回紀伊國屋演劇賞個人賞に高橋長英さんの受賞が決定しました。今年の2月にトム・プロジェクトがプロデュースした古川健作・日澤雄介演出「スィートホーム」の演技が評価されての受賞である。長英さんとは2006年に東憲司作・演出「骨唄」に出演して頂いてからの付き合いである。この作品が4本目になるのだが、おいらも大好きな役者、いや人間長英さんが大好きなのである。一見、小難しく取っつきにくい感じがするのだが、おっとどっこい大変面白い人なのである。酒が入るとおいらと物真似合戦が始まるのである。おいらが笠智衆、美輪明宏の物真似をすると、負けじと長英さんが仲代達矢、森進一で勝負を挑んでくる。酒の場では決着がつかず帰りの電車の中でも、人目も憚らずアクションを交えながらやり出す始末。あのインテリジェンスを漂わす長英さんからは、およそ想像がつかない。長英さんは徹底した庶民派である。地方に行っても必ず名もない小さな居酒屋を好む。大分県中津市に作家・松下竜一さん夫妻を基にした芝居、ふたくちつよし作・演出「かもめ来るころ~松下竜一と洋子~」を公演に行ったときも、中津駅前の小さなカウンターだけのうどん屋さんで昼間から安い焼酎とおでんを食べながら、ぐでんぐでんに酔っぱらったことがある。しかし、こと環境問題になると厳しい顔で地球を汚す輩を徹底的に打ちのめす。権力にもお金にも媚びることなく、たんたんと役者の仕事を続けてきた長英さん、受賞して当然である。新年、授賞式の後の飲み会では長英さんの物真似新ネタあるのかな?おいらも負けじと考えなきゃならんのかな...

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スィートホーム

2015/12/14
【第762回】

「鴨居玲 死を見つめる男」を読了...独自の絵画を確立した画家を支えた、日動画廊の長谷川千恵子さんが書いた本である。今年が没後30年、1985年9月7日に自殺、享年57歳。彼の絵を見てスペインの画家ゴヤを連想した。勿論、生きた環境、時代は違えども、その根底に流れている精神構造は同じものを感じた。41歳で安井賞を受賞、いくら描いても満足できず世界あちこちにアトリエを求めていった放浪の画家でもある。繊細でなにごとにも夢中になる破滅型の人生ではあったが、お茶目な面も多々あり、周囲の人間を煙に巻く遊び心をも持ち合わせていた。彼の重厚かつ深く沈んだ絵を見ていると、彼の内部に潜むとてつもない闇を感じてしまう。一つの作品を完成しても次なる闇に向かってしまう絵描きの業。どんなにも酒を飲み尽くし、楽しい時を過ごしても孤独と苦悩が押し寄せる。他人の心に潜む暗部が気になって仕方が無かったのであろう...アートを追求していくと、その作品が己の化身となり、表現したモノを批評しだし、もう一人の自分が出現するという厄介な事態に陥ってしまう。まさしく芸術という魔性に取り憑かれた画家である。だからこそ、人を惹き付けるのである。己の心身を削るように描き続けた作品が、見る者の感性を揺さぶるのは至極当然のことであろう...そんな彼が唯一心を許し解放できたのがスペイン・バルデペーニャスでの日々であった。おいらにはよく分かる、あの燦々と輝く太陽と、日々祝祭のごとく人生を謳歌している人達の輪の中に居ると、全てのことが許され、己に巣くう闇がなんと可愛げで愛しいモノであったかを気づかさせてくれる。

この物欲文化に覆い尽くされ悲鳴をあげてる世界の諸君、是非スペインアンダルシアのひなびた田舎に行って、もう一度ニンゲンのあるべき姿を学んで欲しい!ほんとですよ...

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「ピエロ」1983年作

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「肖像」1985年作

2015/12/11
【第761回】

野坂昭如さんが亡くなった...野坂さんで想い出すのは、今から43年前くらいかな、新宿ゴールデン街の名物ママで有名な「前田」で飲んでたときに隣に座っていたのが野坂さん。ニヤついていたのだが何故かダンディな佇まいであった。前田のママは佐賀県の出身で、おいらの母の妹と同級生であったことで大変可愛がって貰った。普通だったら、とても入れて貰えない敷居の高い店であった。飲み代が高いのではなく、この店に一歩踏み込んだら知性、品性が問われ、それなりの理論武装、己の信念を抱いて酒を飲まないとママの厳しい意見が飛んでくるのである。この日も、野坂さんがニヤついた顔で女性論を語っていたのだが、すかさずママが「野坂、えらそうなこと抜かすな...」と、一刀両断。しばらく野坂さんも持論をあの早口で喋っていたのだが、最後には頭に来て帰ってしまった...この店で怒られた有名人は数知れない。世間では先生ともてはやされた著名人も、この店ではただの人である。こんな気骨のある店があったゴールデン街も、今や観光名物地になっちまっただよ。まず、おのぼり外人観光客がカメラ片手にうろちょろしとります。若い経営者が増えライト感覚になっちゃいました。まあ、無くなるよりはいいんだが、あの無骨で気骨のある店が少なくなっていくのが寂しい気がします。

昭和がどんどん遠くなっていきます...野坂さんのシャイで遊び心満点の自己演出、好きだったな。そして原点にあるのは戦争体験、死の直前まで最近の政府のきな臭い動きに警告を発していた「戦争などあり得ないと思い込んでいるうちに、気がつけば戦争に巻き込まれている。戦争とはそんなものだ」

野坂さん天国でもふざけた顔で唄ってんだろうな「マリリン・モンロー・ノー・リターン」

♪ソソソクラテスかプラトンか,ニニニーチェかサルトルか...

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今年もそろそろ終りだニャー

2015/12/09
【第760回】

日本のJAZZもいけまっせ...JAZZと言えば、やはりアメリカが本場でございます。でも、時々掘り出し物にぶつかるときがございます。今回は『BUENOS AIRES 1952』大橋祐子トリオ、いいんですな!一曲目の「黒い瞳」から、ぞくぞくしちゃいます。祐子さんのピアノもさることながら、佐藤忍のベース、守新治のドラムもなかなかのサポートと言うより、きっちりと自己主張してるんです。昨日は、日本酒に子鰯をちょろりと焼いたモノをつまみながら、たっぷりと我が家のオーディオシステムで堪能しました。

JAZZに日本酒に小鰯、これがまた合うんですな。まさしく和洋折衷、東洋の文化と西洋の文化が小さな空間で、ほどよくブレンドして、おいらの心身を心地よく解してくれます。

若い頃、年とったらJAZZ喫茶をやろうと2000枚ほどのLPレコードを、バイトで稼いだなけなしのお金を掻き集め買い漁った時代から、今尚、JAZZをこよなく愛しているのでございます。

今は少なくなったJAZZ喫茶を、全国各地追い求めているおいらの姿は、まるで少年のようでもあります。

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よかですばい!

2015/12/07
【第759回】

「東おんなと京おんな」昨日、東京公演終わりました。二人芝居は本当に難しいですね。二人だけのバトル、どちらかの波長が狂うと、なかなか取り戻すことが出来ません。岡本麗さんと鶴田真由さんの緊張感いかばかりか...でも役者にとっては、とてもやりがいがあると思います。日々の出来をリアルタイムで感じ取ることが出来るんですから...芝居の出来不出来は、お客の反応でよく分かります。お客が舞台に身を乗り出してくればしめたモノですが、背を引っ張られるような状態になると、なかなか取り戻すことができません。事実、芝居よりも重い日常を背負いながら、わざわざ劇場に足を運んでくださる人達に、それはそれは余程の作品を提供しなければ満足させることは出来ません。

東京の街も、ようやく秋らしくなってきましたね...例年よりも紅葉の時期が遅くなってる気がします。地球温暖化は一段と進み、自然の営みに大きな変化が起きてます。先日の世界会議でも、大国と発展途上国との意見がくいちがい悲観的な未来を想像するしかありません。利潤、便利、贅沢大好きな愚かな人間が確実に地球滅亡へのプログラムを遂行しようとしています。待ったをかけんといかんですばい!

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紅葉3

2015/12/03
【第758回】

えらいこっちゃ...12月1日、北海道で「南阿佐ヶ谷の母」の千秋楽。12月2日には東京で「東おんなと京おんな」の初日。「だいだいの空」も新潟で12月1日の2ステージを終え帰郷。賑やかしい師走のスタートでした。日本全国、こんなにあっちゃこっちゃで公演してるところも珍しいんじゃありません。芝居はナマモノでございますので神経が休まる暇がございません。「南阿佐ヶ谷の母」の件がありますんで、「東おんなと京おんな」の稽古中に女優さんが風邪なんかにかかっちゃうと、インフルエンザ?なんて心配してしまいます。

芝居屋さんは長生きできないかも...なんて考えてもしょんなかですばい。誰が采配してるか知らんけど、この世に起きるすべての事象はケセラセラ、自然の神さんに身を任せるしかありません。でも己のチカラで少しは軌道修正できるかもしれんとニンゲンは日々自分磨きをするんでございます。考えてみれば、今ある己の姿はこれまで自分の歩いてきた結果ですからね...怠ければ当然の今が待ってますことよ...といって、四角四面の真面目が良いってもんじゃありません。この世、遊び心を失ったら色気もくそもありませんことよ...

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紅葉

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