バックナンバー第129回

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【第129回】

 今日のことでございます。いつものように新宿の街を歩いてますと、車が僕の傍にすっ〜と寄ってきて「ねえ、これあげますよ。結婚式でもらったもので…」と言いながら、車内からローレックス風の成金風時計を2個差し出した。「怪しいものではございません。ロータリークラブの会員で、社会福祉活動もしています…」思わず、おいらも手を出し、受け取った。と、「このオーストリッチの財布もあげるから、貰っていってください。」一体全体どないなってんの!何だか、腑に落ちない気もしたんだが、貰えるっんだったら貰っちゃえ!うちの若い社員でもあげちゃいましょう…てな具合で行きかけると、「これもあげちゃいます。」とオーストリッチのビジネス鞄まで取り出した。こんな貰ってどないすんの!持ち帰るだけでも大変でござりまする。隣にはネクタイ締めた秘書面した兄さんがハンドルを握っている。差し出す親父も60歳くらいの紳士である。怪しくもないので端から拒否する気もなかったのだが、最後に来ました。自分の財布を見せながら「ご覧の通り、すっからかん…ビール代でいいから…」いいオッチャンがカラッポの財布を見せて、なにやっとんの!ついに、おいらもしらけちゃいまして3個の袋を突っ返しました。「いやいや、お金を貰おうなんて思っていませんから…」なに言っててんの!なめちゃいかんぜ…おいらを何様だと思ってんだ。40年間新宿の移り変わりを見続けてきた地回りのケッちゃんだい!と言いたいところだったんですが、この親父がどこぞの893だったらえらいこっちゃと思い、ぐっとこらえました。立派な車のナンバー見ると多摩ナンバー。

  一体、これはなんなんでござんしょ。多摩から出稼ぎに来た新手の「貰ってよ〜詐欺」それにしても、その先のドラマも体験したかったんだけど、やはり事件の匂いがしますな…と同時に桜に見とれ、ぽけっとしてたんでしょうね?この男はカモだと目を付けられたのかも知れませんな。春の陽気と桜は気をつけないとね…

 

 



サクラ


 

2009/3/30   岡田潔