バックナンバー第450回

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【第450回】


末の出来事二つ。吉祥寺行きの井の頭線、ガラガラだったんでシルバー席に座っていました。前には人生をしゃぶり尽くしたおじいちゃんがニコニコ顔でおいらを見てました。「おまえさんも十分楽しまなきゃなあ…生きるってことはそんなもんだよ!」そんなことを言いたそうな顔してました。隣には学生らしき若者が耳にはヘッドホン、手にはスマートフォン…大体からしてお前さんが座るところではないし、電源切らなきゃならんのにお構いなし…隣の空席には、ビニール袋が置いてある。眼鏡を掛け神経質そうな感じ、おいらも注意したいところだが、今時のあんちゃん切れやすいので、ブスリと刺され、天国行きの列車にはまだ乗りたくありませんことよ。そうこうしているうちに浜田山に着き、若者が降りようとしたときに、おじいちゃんが「袋忘れてるよ!お兄さん…」と大声で叫ぶのだが、若者ヘッドフォンのせいで聞こえないのか返答無し。おいらがすかさず若者の身体に触れ「あなたのじゃないの?」と問いかけると、面倒くさそうに「俺のじゃねえよ…」と言いながら降りていった。おじいちゃん、何だか困った顔してたので「耳栓してるんで、聞こえないんですよ…」と説明したところ、ニッコリ笑顔が素敵でした。
昨日の日曜日は寒かった。そんな日の夕方に、子供用の可愛い手袋片方が道ばたに転がっていた…慌てた子供が落としていったのであろう…今頃お母さんに怒られているのだろうか?そして子供は泣き悲しんでいるのでは?そんな思いを抱かせる愛くるしい手袋であった。家路に辿り着けない手袋が何とかして主の元に返れないものだろうか…何気ない道端にも、小さなドラマがありました。

 




浜田山で見つけたシダレ梅

 

2013/2/25  岡田潔