バックナンバー第452回

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【第452回】


先週の金曜から日曜日にかけて3本の芝居を観ました。文学座「セールスマンの死」KAKUTA「秘を以て成立とす」。そして、遠くルーマニアから招聘された「ルル」。ルーマニアには4年前に「風間杜夫一人芝居」で行ったこともあり興味がありました…絶えず侵略の危機にさらされた歴史を持つ東欧の演劇は、やはり心身ぎりぎりのせめぎ合いの連続でした。ルル役を演じた主演女優のオフェリア・ポピ、まさに体当たりの演技で日本の観客を挑発してました。世界が求めて止まない文明社会の大義に対する生命の反抗…不道徳、混迷、挑発、誘惑…アンモラルな芝居で、体制批判をしてる表現者の意地を感じました。生肉は食べ、裸体を晒すオフェリア・ポピの30代後半の肉体からこぼれ落ちる寂寥感がたまりませんでした。
今回の芝居も長年に渉り、ルーマニア演劇に関わってきた七字英輔さんの力によるものだと思います。華やかさに隠れながらも、キラリと光る芝居を見続けてきた七字さんの本が出版されたことも嬉しかった。
今日も世界の片隅で、珠玉の演劇があちこちで気を吐いていることでしょう!

 




「ルル」



「ルーマニア演劇に魅せられて」
七字英輔著

 

2013/3/4  岡田潔