【第484回】
久しぶりに新宿の寄席「末廣亭」に行ってきました。土曜日と言うこともあり300の客席は満員でした。桟敷、椅子席があり皆のんびりと、ゆったりとアナログ芸を楽しんでいました…この末廣亭は、今から47年前、初代席亭「北村銀太郎」の娘さんの子供が小学校に上がったとき、おいらがバイトで牛乳配達していたときに「良かったら子供の家庭教師やってくれない?」なんて言われたもんですから「とんでもありません…人を教えるなんてことは…絵本なんかを読んで一緒に遊ぶことは出来ますが。」なんて縁で、勿論フリーパスで名人の落語をよく聞いていました。志ん生、文楽、圓生、小さん、この当時の名人芸を堪能させて頂きました。三平の落語なんぞは邪道だと思うくらい、それはそれは話芸の中から江戸の情景が目の前に浮かんできたものでございます。シンプル・アンド・ビューティフルの極み。語りと表情と手の仕草で世界を表現できるんですから、これまた世界文化遺産でございます。古典芸能では歌舞伎が圧倒的に人気があるんだが、おいらはこの渋い落語を応援したいな…テレビの笑点を落語なんて思ってる人は、一度は末廣亭に行かしゃんせ…この日のトリは柳家小三治。若き日に見た小三治師匠も73才、芸に枯淡の味が加わり今や名人でございました。
この日は9時に終わったんですが、外には9時半から始まる深夜寄席を楽しみにしている人達が長蛇の列。新進気鋭若手二ッ目4人による一時間半の演し物で、入場料はなんと¥500。夜の新宿でちょいと粋な噺を聞いて、帰りにちょいと一杯なんて粋じゃございませんか…これが、お江戸の通の楽しみ方でございます。
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