【第486回】
「ブエノスアイレスのマリア」行ってきました。オペラシティコンサートホールで初めての公演。震災のため中止になったので、バンドネオンの若き旗手、小松亮太にとっては念願の舞台であったのではないか…アルゼンチンタンゴの革命児あるアストル・ピアソラがタンゴでオペラをやろうとした意欲作。詩人オラシオ・フェレールが書いた繊細かつ暗喩に満ちた言語をピアソラが壮大なタンゴオペラに仕上げました。今回の目玉は、初演の1968年に出演したアメリータ・バルタール(その後ピアソラと結婚し離婚)が初来日したこと。今年72才になる彼女の存在感は圧倒的である。舞台に上がるときにハイヒールが脱げたにもかかわらず、焦ることなくハイヒールを片手に観客に挨拶。茶目っ気もたっぷりであった…それにもまして、小松亮太率いる11人編成の日本人演奏者の素晴らしかったこと…ピアソラも天国から拍手を送ったのではなかろうか。いやいや、ピアソラが舞台の片隅でタクトをとっていたのではなかろうか…二人のアルゼンチン男性歌手の歌声、ナレーションも、いかにもラテン的な声でうっとりいたしました。
家に戻り、早速、何年か前に偶然に買い込んでいた1968年録音の二枚組CDを聞きましたが小松のお兄さん、ピアソラに負けてませんでしたよ…
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