バックナンバー第634回

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【第634回】

末井昭著「自殺」読了。小学生の時に、実母が近所の若い男とダイナマイト心中をした体験を持つ元敏腕雑誌編集者の自伝的本。ギャンブルあり、不倫あり、自殺の名所、青木ヶ原樹海の話、千石イエスなどなど、ハチャメチャな人生が面白い。こんな生き方どちらかというと好きですな。人生破れかぶれといいながら、きっちりと時代を添い寝しながらヒット雑誌を世に出すんだからたいしたもんです。人はなかなか、こうは生きられないものです…世間体を気にしたり、お金欲しがったり、自らをがんじがらめにしながら結構窮屈に生きてるもんです。いちかばちかの博打人生、やってみたいのだが、踏み出すことは至難の業。この本の面白いところは自殺そのものを肯定も否定もしてないところかな…だって、人それぞれ事情があるんだから、他人ごときがえらそうに生きなさい!なんて言えないと言えば言えないじゃございませんこと。いみじくも著者が「死者を心から悼んで、見て見ぬふりをしないで欲しいと思います。どうしても死にたいと思う人は、まじめで優しい人たちなんです。」と言う末井氏の「自殺」に対する考察、眼差しが実に冷静で優しいじゃありませんか…

 




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2014/11/12  岡田潔