トムプロジェクト

2015/10/02
【第738回】

只今、川島なお美さんの葬儀から帰ってきました。美しい遺影の周りには、沢山のワインが飾られていました。なんだか亡くなったのが嘘のような雰囲気でした...喪主の鎧塚さんが、気丈に場を持てなしてる姿を見て何だか目頭が熱くなってきました...青山葬儀場は2014年5月の蟹江敬三さんのお別れ会以来です。人は何れ死ぬと分かっていても、別れはつらいものです。特に役者が、命よりも俳優としての最期を望むのも壮絶なものを感じます。以前、トムの舞台にも出て頂いた緒形拳さん然り。表現という魔物に取り憑かれると、ノーマールな思考も何処吹く風、唯々、果てしなき表現地獄、いや表現天国の魔界に彷徨ってしまいます。そこまでリスクを抱えての命懸けの行為が、多くのファンを魅了することも確かです。今尚、世間では、子が芸能なる世界の門を叩きたいと言ったときには、反対するのが当たり前だと言われています。この魔界の世界でモノになる人はほんの一握りです...おいらも、志し中半で倒れていった仲間を随分見続けてきました。でも、彼らが歩んだ人生も立派なドラマであり、表現だと思います。

青山葬儀場を後にして、晴れ上がった空を見上げると初秋の太陽の光がキラキラと輝いていました。そう言えば、初めてトムの稽古場で本読みしていたときの、なお美さんの瞳を想い出しました...

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合掌

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