トムプロジェクト

2016/07/01
【第836回】

昨日は風間杜夫ひとり芝居「正義の味方」の昼公演後、友人の芝居を観てきました。この方御年72歳、アングラ演劇一筋の素敵なオッサンです。若いときは、そりゃカッコいい個性的な役者さんでした。印象的な面構えと手足が長い痩身で新宿を歩いていると、そりゃ目を引きますわ。おいらとはアングラ劇団「走狗」で出会ったんだが、相当自信があったんでしょうな、ブイブイ言わしておりました。まあ、おいらが見てもマスコミに行けば売れるだろうなと思っていたし、年上だからしゃあないと傍観しとりました。アングラ劇団のテント芝居では暴れまくっていました...日本全国テントを持っての過酷な旅の中で、一番とんがってる存在で、終演後の飲み会は喧々諤々、最後は殴り合いの喧嘩になる始末でございました。

ほぼ半世紀、彼の人生が一貫してるところに頭が下がります。今でも、当時住んでた木造の風呂なしのアパートワンルームに愛する奥さんと二人で住んでます。生活は朝6時から百貨店店内の商品運搬係をやっとります。好きな芝居を、それもお金にならない場でこつこつと演じ続ける彼の姿に男の生きざまを見ましたな...終演後、体調どうなの?と聞いたところ前立腺肥大で大変だとのこと。しかしながら、精悍な顔つきと誇り高き姿勢はなんら変わることありまっせん...人生ってなんだろう?お金ではなく社会的な立場でもなく、己が信ずる道を真っすぐ突き進む生き方に、今やあまり見なくなった気骨なるものを感じましたがな。達ちゃんいつまでも元気でいてくださいね!

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東京暮色

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