トムプロジェクト

2016/09/09
【第864回】

9月も明日から中盤に差し掛かるというのに、まだまだ猛暑が続いています...文芸誌「群像」10月号が創刊70周年記念号として、群像短編名作選として54作品が掲載されてるのを知り早速購入し読み始めました。ここには、故人になった作家から今も第一線で活躍している文学者が網羅されているのだが、昨今もてはやされている流行作家の文体がなんと軽佻浮薄であることか!をまず気づかさせてくれました。言葉の選定の仕方が、まるで何度も漉されたあとに残った言語を、またしても懐疑を重ね、最後は覚悟を決めて飲み込み、吟味しながら吐き出す壮絶なる過程を想像してしまうのだ...文体の背後に、状況設定を思い起こさせるチカラが厳然として存在しているのである。言葉が持つ壮大な可能性をまざまざと魅せつけられ、改めて文学なるものの奥深さを考えさせられた次第である。

まだまだ読み始めであるが、ここ数日は、この800ページ(しかも二段組なのでかなりの量である)の分厚い雑誌の虜になっちゃいそうでございます。ジャズを聴きながら、美味しいコーヒーを片手に、命を削って言葉と格闘した文学に酔いしれたいもんでございます。

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事務所ベランダからの眺め

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