トムプロジェクト

2017/06/28
【第969回】

「ローカルブックストアである福岡ブックスキューブリック」を読了...1961年生まれの著者である福岡出身の大井実さんが39歳の時に福岡で本屋さんを開き、15年間にわたる奮闘記を記したもの。街の本屋さんが全国的になくなっているこの時期に、よくぞ決心したなと思う。彼の拘りは書店とは街の不可欠なインフラだと言うこと。今の時代はインターネットがあれば事足りる時代と思われがちだが、本は単純に情報を得るだけの道具ではないと言うことだ。大自然の樹木から幾つもの過程を経てつくられた紙の本は、装丁や文字組みから写真、紙質やインクの匂いなどを含めて、人の五感を刺激する官能的な要素を備えていて、まさしく神様からのプレゼント...福岡市の素敵な通りのひとつであるけやき通りに手作りの店をオープンし、毎年「ブックオカ」を開催し、全国各地にブックイベントを立ちあげる先駆けにもなる情熱は本好きなものには心強い味方である。

精神的に一番大変だった高校時代を過ごした時に、自分を救ってくれた本や諸々のアートの魅力を、再び福岡に戻り伝えたいと語る彼の行動に拍手を送りたい。一度きりの人生、己がやりたい!と思ったことは正解だと思う。あとはやるか諦めるかの選択しかない。そのときに人は他人との比較、未来への不安が頭を過ぎる...それぞれの人にとっての人生は個別であり生きる意味も又個別である。その個別性に真摯に向きあい自分なりのアクションを起こせば何かが興きるんじゃないかしら...今からでも遅くはありませんことよ!

969.jpg

雨垂れの朝顔

<<次の記事 前の記事>>