トムプロジェクト

2017/09/08
【第997回】

「風間杜夫ひとり芝居~ピース」も昨日で5ステージを終えたところだ。連日超満員のお客様に見守れながら杜夫ちゃん絶好調でございます。社会性を盛り込みながらこれだけの笑いに包まれるのも、ひとえに愛されキャラ、チャーミングな役者の証ではなかろうか...
今回もOさんから一枚の葉書が劇場に送られてきましたので紹介します。

拝啓「風間杜夫ひとり芝居ピースPEASE」拝見。葬儀で故人を偲ぶ冒頭、いきなり何が始まるのかと期待が膨らむ客席です。葬儀屋の父娘の会話に繋がり、なるほど人情話かと納得して話を追っていくと、その家族の光景まで目にしているような展開になり、ひとり芝居の台詞の世界に引き込まれてゆきます。やがてその小さな幸せを覗き見た客席は酒に勢いを借りて社会風刺する主人公に少し違和感を覚えながらも、いつもの社会ネタの幕開けかとその口舌を楽しみ出すと、このオヤジの荒れ具合の陰に潜む家庭を失ってしまった不幸を垣間見ることになる。実に見事な展開。しかもこの流れが、まるでそれぞれの配役が登場しているかのような奥行きを、たった一人の役者が、登場しているかのような奥行きをたった一人の役者が語りだけで構成していく醍醐味に、客席は笑いながらもすっかり話の世界に引きずり込まれてゆきます。この時間、場面を共有したいがために、今ここに観客というよりも、ドラマの一員となって同じ空気に触れているわけです。立派な生き様に圧倒されるのではなく市井の一市民の哀しみをともにしている。その設定が社会を切る彼の言葉に素直に頷かせる現実感を生み出していることに、見終わって気付く帰り道です。待った甲斐、そして見た甲斐のあるひとときでした。楽しい芝居に出会えて満足です。ありがとうございました。敬具

一枚の葉書に、びっしりと書き込まれた感想文に、いつも心打たれます。きちんと芝居を観られ、芝居に対する愛情をひしひしと感じます。こんな人達が劇場に足を運んでくれるのだから、つまらん芝居を創るわけにはいきません。
いよいよ東京公演も残すところ3ステージ、観なきゃ後悔いたしますぞ!

997.jpg

Oさんからのハガキ

<<次の記事 前の記事>>