トムプロジェクト

2018/01/11
【第1042回】

寒風吹きすさぶ新宿のビルで、まるで曲芸師の如く立ち振る舞うガラス磨きの職人。数年前にデビューしたバスタ新宿の大きな窓を、ひらりひらりと渡る姿に信号待ちのお客も驚きの表情で見とれていました。おいらも大昔にやったことがあるので、それはそれは冷や汗もんでございましたよ。生きた心地がいたしません...落下してひしゃげた蛙みたいになるのも嫌なんで、ただただ窓ばかりを見つめて磨いていました。一度、スクイジー(ガラスを磨く道具)が手元を離れ道行く人に当たりそうになったときは肝を冷やしましたな...それを機にこのバイトはやめました。一昨日も、その当時一緒にバイトしていた芝居仲間のたっちゃんとでの宴席で、この当時の話で盛り上がりました。草刈り、清掃、公衆便所のパトロール清掃などなど日銭を稼ぐために人が嫌がる仕事も厭わず黙々とこなしましたものでございます。好きな生き方をやるには、仕事に関しては選別出来る立場ではないのは至極当然。アウトローの視点から凝視する社会だからこそ見えてくるもんがあるんですな...誰に気を遣うわけでもなくおのれの感性で、それぞれの価値を見いだす絶好の機会であったかもしれません。あの日あの時の、嘗てのおいらの姿を眺めつつ、思えば遠く来たもんだ...

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街中の忍者

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