2018/01/24
【第1047回】
稲垣えみ子著「寂しい生活」読了...2011年東日本大震災をきっかけに、冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機、エアコンなどなどほとんどの電化製品を破棄し、まるで江戸時代の生活に戻った稲垣さん。しかも、長年勤めた朝日新聞社も辞めちまった...今ある家電は、電灯、ラジオ、パソコン、携帯だけという、まさしくシンプルライフ。その環境の中で次々と新しい発見を見いだし心豊かな生活を過ごしている様が活き活きと語られている。挙げ句の果てにガスもやめちゃい新たな食生活のチャレンジしている。現世が欲望をひねり出す時代を産み出すために、有名企業が戦略十訓として掲げている。
もっと使わせろ
捨てさせろ
無駄使いさせろ
季節を忘れさせろ
贈り物をさせろ
組み合わせで買わせろ
きっかけを投じろ
流行遅れにさせろ
気安く買わせろ
混乱をつくり出せ
この戦略に踊らされ、人は終わりのない欲望ゲームに否応もなく参加させられ疲弊してしまう。そろそろこの果てしない欲望ゲームから脱せよ!という訓戒が原発事故ではなかったのか...なのに、いまだ原発を他国に売り込むこの国って一体なんだろうね!所有することの貧しさ、所有しないことによって生ずる豊かさ、そんなことを考えさせてくれる書物である。
まだまだ溶けませんぞ...