バックナンバー第292回

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【第292回】


 「あとは野となれ山となれ」3ステージ目の公演が終わりました。今回の設定は大衆演劇の世界。全国のあちこちで今なおしぶとく生き残っている旅一座。何とも言えない雰囲気があるんですな…おいらが一番印象に残っているのが大阪通天閣近くにある劇場「浪速クラブ」。近くにビルの中にある「朝日劇場」に比べるとなんともうらぶれた劇場だ。場末の怪しいストリップ劇場てな感じ…そのとき観た演目も泥臭く、洗練されてはいないのだが、身体を張った芝居が印象に残っている。子供も出演していたのだが、なんとも言えない色気があり、まさしく学校の勉強より芸の勉強優先の日々であることは間違いない。大衆演劇の世界にもランクがあり、親兄弟を含めて一座あげての総力戦で、上を目指しているのが手に取るようにわかるのが泣けてくる。終演後、見送りする座員に激励の言葉をかけた覚えがある。今回の芝居でも竹下景子さんが吐く言葉「大衆演劇には日本人の心がある…」なんて台詞があるんだが、なるほど演し物一つとっても、一座の在り方、劇場、日本人の郷愁をそそる条件を十分に備えている。
「あとは野となれ山となれ」10日迄、下北沢本多劇場でやってますんで、おこしやす!

 

 





秋一景


 

2011/10/7  岡田潔