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【第295回】


 10月14日に、今年7月に亡くなった貞永方久監督を偲ぶ会が銀座でありました。おいらにとっておやじさん的な存在でした。会場には監督が愛用していた眼鏡、筆記用具、おいらも良く眼にした革ジャン、ベストが置かれ、思わず「監督元気ですか?」と声を掛けそうになりました。篠田正浩監督のスピーチが印象的でした。松竹ヌーベルバーグの旗手であった篠田監督が、伝統ある京都太秦撮影所に初めて乗り込んだとき、古いスタッフの激しい抵抗にあい四苦八苦しているときに、助監督であった貞永さんが「折角、新しい映画を創ろうとしている篠田監督に何故協力しようとしないんですか!」と檄を飛ばし、その後順調に撮影が進んでいったとのこと。大きな身体に大きな声、そしてまっすぐな信条、心情。貞永さんの生き方に周りの人間も納得せざるを得なかったのではないか…
どんな人に対しても分け隔て無く接した監督は、魑魅魍魎のこの世界で悪戦苦闘したのではなかろうか?それほど純粋な人でした。
平和を願い、差別を嫌い、自然を愛した貞永さん…ゆっくりやすんでください。

 





貞永方久監督


 

2011/10/17  岡田潔