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【第296回】


 10月17日に三枝三七子さんが出版した「みなまたの木」の出版記念企画イベントがありました。三枝さんは、おいらが2年前に西日本新聞にエッセイを連載した時に50回に渉り毎回素敵なイラストを描いてくれた人である。この日は、絵本を竹下景子さんが朗読したあと、長年患者の立場から徹底した診断と研究で水俣病に取り組んでこられた原田正純さんとの対談がありました。三人の対談から感じたことは、水俣病を水俣学と捉えることによって、医学的な観点だけではなく、水俣から発した一連の動きを活かすことによって多岐な分野での問題解決のヒントにしようではないか…水俣から学べ!今回の震災、原発も然りである。
人災に等しい病、事故が起きる度に人の絆が崩壊し風評被害に曝される現実に未だ対応できない社会に、人間が過去の事例に学ぶ想像力を持ち得ないいらだちではなかろうか…今回のこの本も、幾多の出版社が難色を示したそうな…水俣?これだけで避ける(売れない、関わりたくない)この国の想像力の貧しさにほとほと頭を抱えてしまう。
誰かが手を付けないと扉を開けることが出来ない事がある。今回の「みなまたの木」出版もその一つだと思う。この困難に今なお立ち向かっている原田正純さん、ノンフィクション絵本なるものに風穴を開けた三枝三七子さん、女優としてではなく一人の人間として社会活動にも積極的な竹下景子さんの対談は温かいものがありました。
皆さん、よろしかったら「みなまたの木」買って下さいな…買えなかった図書館に行って購入希望を出して下さいな…この本が売れたら第二弾「ドクター原田」が出版されるそうです。

 





みなまたの木


 

2011/10/19  岡田潔