【第589回】
6月7日(土)松下竜一さんを偲ぶ第10回「竜一忌」に出席しました。松下さんが67年間離れることがなかった大分県中津市に全国から320人の人達が集まりました。おいらも「かもめ来るころ」の稽古中にかかわらず駆けつけました。東日本大震災以来、松下竜一さんの言葉、生き方は底光りするものがあります。6月中旬より上演する今回の芝居の中でも、チェルノブイリ原発事故直後に、松下さんが大学の入学式で講演した生の声と字幕を入れました。「日本でも同じ事故が起きるかも知れない…なのに若者は何故声をあげないのか?」松下さんが一貫して発言した暗闇の思想こそ、今大きな意味を持つような気がしてなりません。豆腐屋さんから作家、しかも売れない作家を自負しながら、一貫して弱者の視点から多くの作品を生み出した松下さんの志の高さ、強靱な精神、おいらにとってもバイブル的な存在です。この人の生き方に共鳴する人達が居る限り、まだまだ日本も大丈夫かな?でも人は皆それぞれ異なる生き方、考え方を持っていることも事実です。そこのところを外すと争いという不幸な構造が待ち構えています。己が一番正しい!これも難しい面があります。かといって安易な妥協も考え物です。今の日本の行く末、大変危険なものを孕んでいることも心配です。こんな時に松下さんの著作を多くの人が読んでくれると嬉しいなと思ってるんですが、ほとんどの書店で販売されてません。残念ながら書店も商売第一、人の目につくところには安全パイの本が積まれています。こんな状況の中、松下さんの本はアマゾンの検索、図書館のなかでしか出会うことが出来ない不幸な環境です。でも、探して是非読んで頂きたい!そしてトムが創った芝居「かもめ来るころ」是非観て頂きたい!ふたくちつよしさんの戯曲、高橋長英さん、斉藤とも子さんの演技、松下さんの魂が乗り移っています…大切な作品を、多くの大切な人達が観てくれる世の中になったら、きっと素敵な社会になってると思います。
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