トムプロジェクト

2015/08/03
【第717回】

先週金曜日、午前10時半から3時間半観た映画「記憶と生きる」に登場した、日本国によって慰安婦にされた6人のハルモニ(おばあさん)の顔がいまだに記憶から消えません。元「慰安婦」たちが肩寄せ合って、死ぬまで暮らした「ナヌム(分かち合い)の家」での日々の暮らしは、唯々、16歳から騙され慰安婦にされた辛い記憶が身体を覆い尽くし、穏やかな時間など持てるはず無く、死を迎えるしか無かった人生に涙さえ出ない...
8月は、いつもながら戦争特集でメディアは一斉に様々な番組、情報を垂れ流す。あたかも、その行為が免罪符と思ってるふしさえある。思いれたっぷりの感情過多の音楽を流し、戦中というのに役者の頭はイマ風(他の仕事のつながりから)、イケメン俳優使っての学芸会。他のメディアも8月定番の薄っぺらな記事。どこまでも能天気な国である...そんななか「記憶と生きる」は1日1回上映、50人の椅子席に20人ほどの目撃者。これが悲しいかな日本の文化レベルであろう。でも、この映画の上映に踏み切った渋谷アップリンクには敬意を表したい。ここでの上映は8月中旬まで延長できたらしい。その後は、地方のミニシアターでも上映するらしい。是非、観て欲しい映画だ!一切の音楽を排し、ハルモニの肉声と自然の音が流れる3時間半。このハルモニと似た境遇の無数の棄民の声が聞こえてくるに違いない。

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8月の新宿御苑

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