トムプロジェクト

2015/09/07
【第729回】

墨の世界は深いです...おいらも毛筆大好きです。人間の身体、もちろん心が一番伝わりやすいのが筆ではないでしょうか。墨を擦り、程よい濃さを作り出し、筆に乗せ、今ある気持ちを毛筆の繊細な動きに託し表現する様は躍動感に溢れています。30代の頃、世界を放浪していたときに、言語も判らないおいらを助けてくれたのも墨です。相手とのコミニュケーンをとる手段としては最良のものでした。相手の名前がわかると、漢字の当て字を使って書いてやると大喜び。例えばルイスであれば留伊須とか...これに味をしめて商いもしましたぞ。スペインの浜に白い石が沢山拾えたので、こりゃよかですばい!と、しこたま袋の詰め込んで真っ白な白に漢字の名前を画いてやると飛ぶように売れたのでございます。このお金でスペイン滞在も延長できました。
今でも、毛筆を手にすると、血湧き肉躍る感じがします。おいらの遊び心を大いに刺激し文字が絵になり、なんとも言えない書体になるのです。亡くなった映画監督・貞永方久さんがおいらの自己流に徹した墨絵、絵文字を見て「まったく、自分勝手で、わがままで、感謝知らずの気分屋で、いささかうろんなタッチなのだが、なぜかふしぎに、どこかしら魅かれる風が吹いている」これは、けなされ誉められ感想なんでしょうかね?
「字は体なり」って言葉があるじゃないですか、その顕著な表現が毛筆書体だと思ってるんですが...いずれにしても、このハイテク時代、たまには鉛筆、ペンでもよござんす、これらを駆使して己を表現してはいががですかな...


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幽玄の世界

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