トムプロジェクト

2015/09/09
【第730回】

友人の個展で久しぶりに本郷に行ってきました。本郷と言えば、夏目漱石、二葉亭四迷、石川啄木、川端康成など多くの文人が居を構えていた場所です。中でも、樋口一葉が住んでた菊坂では、母と妹と3人で針仕事や洗い張りをするなど、苦難の日々を過ごした場所でもあります。この地に、今も威厳ある佇まいで、東京帝国大学がオッ建っている...おいらは残念ながら入学できなかったが(あたりまえやんか)、この国の中枢を担っている人達が学んだ学舎であることに間違いはない...政治家、官僚などなど、確かに国を牽引したには違いないが、おいらが思うに国家を思うに等しく庶民、人民、尚言わせて貰えば棄民にいたるまで人間なる者に思いを馳せ、そこから国家なるものの設計をして欲しかった。ならばもう少し心豊かなニッポンになったに違いない。おいらは雨降る中、赤門を眺めながら思ったさ...この重要文化財は加賀藩13代藩主前田斉泰が文政10年(1827)に11代将軍徳川家斉の娘溶姫を正室に迎えた際に建立された御守殿門...お上が庶民から吸い上げた銭っこで建てたもんでございます。だからして、今度は、お上が庶民に尽くすのが当然でしょう...この当たり前のことが未だ、この国ではなされておりません。

ところで、個展はどうだった?A・Hさんのお母さんが亡くなった時に画いた油絵≪地≫がとても印象的でした。アートは特別、特殊なことではなく、その素材は、いつもの日常の中に潜んでいます。そうなんです、生きてること自体がアートなんです。

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赤門

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