トムプロジェクト

2016/02/03
【第779回】

3月公演の「砦」の稽古が始まりました...おいらが敬愛する作家・松下竜一さんが書いた「砦に拠る」、これはどうしても芝居にしたかった作品だった。 おいらが信頼する作・演出家、東憲司さんに戯曲を依頼し期待通りの本が上がってきた。この話は、九州の熊本、大分にまたがる下筌ダム建設計画に対し、反対派の人々が1959年頃から抵抗した事件。1964年に最後まで砦(蜂の巣城)にたてこもっていた反対派のリーダー・室原知幸さん(当時66歳)が警官隊に引きずり出され、この騒動は収束に向かった。お役所的な権力に、最後は一人になってでも抵抗した室原さんと、ただひたすら支えてきた奥さんがメインになる芝居。稽古初日の本読みでの印象なんだが、夫婦役の村井國夫さん、藤田弓子さんが実によい。共演者で、今を時めく劇団トラッシュマスターズのカゴシマジロー、劇団チョコレートケーキの浅井伸治、今回トム・プロジェクト初登場の期待の若手女優、滝沢花野の三人が、この芝居の鍵を握っているのだが、これがまた期待に応える本読みで、よしゃ!これはいけると思いました。プロデューサーの仕事はキャスティングした時点で吉と出ることを確信しているのだが、実際生の声を聴いてみないと不安があるのも事実である。

今から41年前、この事件の資料もほとんど残っていないなか、松下竜一さんは車の運転できず、もちろん携帯電話もなく、体調不良の状態で執念の取材を重ね珠玉のノンフィクションを完成させた。自らも、地元大分県中津の自然の海を汚すであろう火力発電建設反対に命を懸けた人だけに、人間の尊厳をかけた蜂の巣城の攻防に心血を注いだのも当然である。

今日は節分。おいらも家に帰って、鬼はそと~福はうち~豆まいて恵方巻を食べますバイ!

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節分

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