トムプロジェクト

2016/06/10
【第827回】

三枝三七子さんの個展に行ってきました。三枝さんは、おいらが2009年、西日本新聞にエッセイを連載した時に挿絵を描いてもらった絵本作家です。連載は3ケ月50回に渡って掲載されたのですが、三枝さんは毎回、楽しく懐かしいカラーの絵を描いてくれました。この挿絵のおかげでおいらの拙文も、どうにか形になりました。表参道のポイントギャラリーでの今回のテーマは平和です。丁寧に描かれた三枝さんの作品は、彼女の平和への願いがひしひしと伝わってきました。彼女はたくさんの絵本を出版しているのですが、これらの作品の中で、ひときわ目を引くのが水俣に関する絵本です。2011年に「みなまたの木」(創英社)、2013年に「よかたい先生」(学研教育出版)。絵本の世界で公害を扱うのは異例のことだと思います。でも、果敢に粘り強く出版にこぎつけた三枝さんの精神力はたいしたたまげたもんでございます。いくつかの出版社に企画を持ち込んでも「いや、売れないですね...」「暗いですね...」との回答ばかり。まさにテレビの視聴率戦争と同じです。まあ、資本主義社会ですからわからんこともないんだが、こうやって良心的な作品が闇に葬られるのが世の常...ここを突破する表現者が現れたときはまさしく拍手喝采です。

トム・プロジェクトも今年、水俣の芝居創ります。忘却の民に何度も何度も口酸っぱく伝えないと、この国の行く末は安閑としてられませんことよ...

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絵本は語る

 

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