トムプロジェクト

2017/02/24
【第925回】

新宿の街から、いかがわしく淫靡な匂いが無くなってきました...銀座、青山、六本木、渋谷なんかに比べて新宿はカオスが売りです。得体の知れない輩が徘徊し一歩間違えば、身ぐるみを剥がされる危険な街です。だからして女性の人気はいまいちですが、おいらのような好奇心がひと以上に強い人間にとっては、飽きが来ない街です。ほんまもんの文化は、人間の奥深く潜む欲望を嗅ぎつけないと生み出せんがな...当たり障りのない口当たりの良いお洒落な街も嫌いではないが、その表層をぺろりと舐めても文化そのものの本質には辿り着くことが出来ません。しばし、戦士の休息場としての街でしかありません。クンクンと日々嗅ぎ廻る戌年のおいらも、たまには流行たるものに接し身支度を調えるぐらいのエチケットはわきまえていますがな...さっき、新宿のアルタの自販機前でホームレスのおっちゃんが自販機前のブロック石を持ち上げ自販機の下を必死の形相で覗いていました。釣り銭が落っこちて普通では取れない諦めていった小銭がないものか探しているんですね。この平和な日本で生死を彷徨いながら捨て身で生きてるこの姿を見て何を感じるか?ここんところが勝負の分かれ目かもしれませんな...命果てるまで生きることの意味、心想する日々でがんす。

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半世紀前アルタ前での唐十郎

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