トムプロジェクト

2018/02/09
【第1054回】

「Sing a Song」今日で3日目を迎えます...初日の緊張感は全員が、心臓ぱくぱくもんでございます。稽古場でどんなにいけると思っていても、お客が入り幕が開くと稽古場とは全く違う空気が流れ、役者の一挙手一投足で微妙な動きが劇場内を包みます。観客のハートをどこまで鷲づかみできるかどうか?しかも早い段階でつかまないと、あれ終わっちゃいましたなんてことになってしまいます。今回の芝居の見所は、もちろん戸田恵子さんの歌、信念を貫く表現、大和田獏さんの人生を感じさせる味わい深い佇まい、地味ながらきっちりと支える藤澤志帆さん...そして、今回際立つのが3人の憲兵、大佐、軍曹。これまでは日本の軍隊の役を演じる場合はパターン化したケースが多いのだが、今回の鳥山昌克さん、高橋洋介さん、岡本篤さん、もちろんキャラクターの違いは当然として、それぞれに人間性を程よく役に刷り込み、三者三様の軍人像を創りあげている。その変化、違いをストーリーとともに追っていくと、また芝居の楽しみ方がより深みを帯びてくるというものだ...芝居の面白いところは、テレビ、映画とは違って舞台上の人物をすべからく俯瞰出来るところにある。映像の場合は監督の意図により、又、主役優先ということもありアップで注視するところを決められてしまう。ところが舞台の場合は、台詞のないただ突っ立っているだけの役者が全身で思いの丈を表現している...この瞬間に出会えたときこそ、演劇に立ち会えた喜びを享受出来る。どんなに台詞が多くても、駄目なもんは駄目!これが芝居の厳しさでござんすよ...この芝居、来週の16日(金)までやっとります。いろんな角度から、芝居の奥深さを楽しんで観るのもよござんすよ。

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つかれちゃいますがな...

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