トムプロジェクト

2018/02/15
【第1056回】

「Sing a Song」東京公演明日が千秋楽です...芝居をきっちりと観てくださるOさんから観劇後の感想を速達ハガキで送られて来ました。

 

話の内容は予想がつきました。ポスターにも戦時中の色が染みついていましたから。ただ芝居はその浅はかな想像をはるかに越えていました。気合いの入った完成された舞台に正直感動しました。こんなひとたちが居たんだ。こんな奴も存在していたんだと。芝居の中の現実感に引き込まれてしまったのです。良く練り上げた脚本を理解して演じた役者各位の迫力のなせる業です。そして、その役者に正面から向き合った演出家の世界観が作りあげた世界です。この芝居を成立させたプロデューサーの熱意が全編を通じて感じられます。知覧なのか出水なのか、飛び立つ少年兵の姿を思い浮かべ、会場にはすすり泣きが満ちて、この芝居のリアリティを実感せずにはいられませんでした。こうした芝居が上演される今を大切に守らねばと肝に銘じた次第です。しかし、この芝居の成功の要因は戸田恵子さん演じる三上あい子の実在感でしょう。ひとがいきるということを歌に託した主人公の痛々しいまでの生き様が話に引き込ませるのです。その美しい歌声とあいまって、観客を70年以上前の緊迫した時代に運び込むのですから。それに対峙する各役者の真剣な表情にささえられ、この芝居の成功があるのだと納得させられます。本当はみんな優しく穏やかな人生を生きたかったに違いないわれわれの先人に思いをはせたひとときでした。拍手!

 

一枚のはがきにびっしりと思いの丈を綴られた言葉を眺めながら、いや本当に芝居はいいもんだと改めて感じた次第です...手造りで皆のチカラを結集して作品を生み出し、お客様に喜んでいただく。プロデューサー冥利につきますばい...

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春がひたひたと...

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