トムプロジェクト

2017/07/18
【第977回】

トラッシュマスターズ「不埒」を観劇...芝居もいろんなジャンルがあるのだが、この集団は一貫して社会を撃ち、近未来にメッーセージを送り続けている希有なる劇団である。芝居で政治、経済、行政を絡めてドラマを創り出すのは極めて難しい。何故ならば、情報過多の時代に安っぽい批評めいた台詞では陳腐になってしまうし、お金を払い時間まで奪われる貴重な時間に時事談義なんぞに付き合っていられませんがな...てな具合になってしまう。そのことを自明の理として果敢にチャレンジするトラッシュマスターズに、ついつい肩入れしてしまうのも、演劇がなんとなく商業化している傾向があるためか...芝居の始まりは無頼漢の戯れ事から始まり、権力を監視する役割を果たしてきた経緯があったはず。なんでんかんでんお金をかけて派手派手舞台にすればいいってことじゃございません。大多数の国民のオモチャと化してるテレビの世界が劣化している昨今、ここはひとつ芝居が砦となってエンヤコ~ラと声をあげねば、この国は白痴列島になっちゃうんじゃないかしら。
さてさて「不埒」はどうだったか...この集団のメインキャストだった二人が久々に共演して見応えのある芝居になっていました。中津留章仁の戯曲も、人間の内部にぐさりとメスを入れ、時代が抱える諸問題と程よくリンクして2時間半の長丁場を乗り切った感じ。出来るならば2時間以内にまとめてくれれば、いつもながら思うのだが、現代を調理する作家としては言わずにはおれない!といったところか。
このクソ暑いさなか、緊張感溢れる芝居でも観て暑気払いしてはいかがかな...

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ふらちな人は誰かしら?

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