トムプロジェクト

2020/06/01
【第1345回】

東京は朝から雨が降っています。そろそろ本格的な梅雨入りですね...小暮夕紀子著「タイガー理髪店心中」読了。2年前に芥川賞受賞した若竹千佐子著「おらおらでひとりいぐも」も面白かったのだが、こちらの作品も老夫婦が主役の高齢老境小説。まず文体が面白い。言葉がいきなりジャンプする様は痛快そのものである。一人息子を亡くした老夫婦の感情の揺れが繊細かつダイナミックに描かれる表題作の他、もう1編「残暑のゆくえ」は満州から引き揚げてくる苦渋の過去を引きずりながら、現在と過去を行き来しながら、日常の奥に潜む殺意、狂気を見事に描ききっている。この感覚こそが文学の持つ醍醐味ではなかろうか...

飲みにも行けない日々、好きなJazz聴きながら読書三昧の日々もなかなか贅沢なものである。

先日、稲盛財団がこの期にアート活動が出来なかった団体に3億5千万円を助成するというプラン今日発表されました。トム・プロジェクトも500万円頂きました。この苦しい時期、本当にありがたいです。民間企業でありながら、真っ先に手を挙げこれだけの事業を敢行する稲盛財団に敬意を表したい。頂いたお金、そっくりそのまま舞台を待ち望んでる全国の演劇愛好者のみなさんに、素敵な芝居でお返ししたいと思ってます。

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水無月

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