2018/12/12
【第1169回】
劇団桟敷童子公演「その恋、覚え無し」を観劇...作・演出の東憲司さんの少年時代に過ごした福岡の神隠しの話だ。チラシのコピーにこんなことが書かれていた。
朦朧とした意識の中でわらべうたが聞こえてきた。
幼い頃に遊んだあの子を想い出す。
名前も知らない女の子だ。顔も思い出せない。
死ぬ間際にその子の顔を思い出そうと苦笑する。
曇天の向こうに、彼岸花が揺れている。
そして遠くに赤く燃える紅葉の群れ...。
凍てついた身体がぎくしゃくと動き出す。
あそこに行けば、あの子の顔が思い出せそうな気がした。
あの子の名前が思い出せそうな気がした。
いや、もしかしたらあの子は、
年をとらずそのままで、
あの紅葉の中で笑っているかもしれない。
きっと全裸で眩しくて、
秘めたる輝きに満ち...。
東君はいつも少年の面影を残しつつ、見事な劇空間を創り出してくれる才気溢れた演劇人だ。おいらは大好きだ...だからこそ何本もの作品を依頼してきた。一本の作品を世に出すために命を削りながら机に向かっている。この劇団の演劇に向かう姿も謙虚で大好きだ。
この日の芝居の最後に魅せてくれる見事な紅葉の一群...いつの日か、東君が大劇場で思い描く東ワールドを観たいものだ。
そろそろ魅せじまい...