トムプロジェクト

2019/05/17
【第1218回】

「モンテンルパの夜明け」新井恵美子著を読了...太平洋戦争が終わった後もフィリピンの牢獄で生きなければならなかったBC級戦犯日本兵たちの苦難の日々を描いたノンフィクション。加害者である日本兵、そして取り残され戦犯として扱われた不条理のなかで戦争の持つ数々の残虐性が明らかになっていく。14名の戦犯が絞首刑になり、日々次は己というう恐怖心の中、戦後、異国の地で過ごした心境はいかばかりであろうか...戦争は勝者、敗者ともども得るものがないどころか、こんなバカげたことをいまだ無くせない人間を改めて愚かだと思う。アジアの島で追いやられた兵士の心情を思うと、こうやって何事もなく平穏無事に過ごすことのできる戦後生まれのおいらを含めての輩は、ただただ手を合わせるしかない。本の中にも出てくるのだが、食べるものがなく同胞の肉を食するシーンは正誤を判断しがたいほどの極限状態だとしか言えない。

今日も夏を思わせる空。その空に向かって新緑、花々が咲き乱れています...この素晴らしい光景が一日でも長く続きますようにと願わずにはおられません。美しいと思える感情が己のなかにある限り、争いの感情は芽生えません。生きとし生けるものすべて美しいなんてことは理想かもしれないけど、こちらに寄り添うほうが断然いいに決まってますよね皆の衆。

1218.jpg

新緑と花

<<次の記事 前の記事>>