トムプロジェクト

2021/03/03
【第1453回】

今日も快晴、又、寒さが戻りましたが気持ちの良い一日になりそうです...著名な哲学者の本を2冊ばかり読んでましたが、途中何だか嫌になり中断しました。何が嫌になったかといいますと、この方の文章がすべて頭の中で構築されていて、言葉を巧みに操ることに徹底し万事、屁理屈にしか感じられなくなり、なんだか言葉遊びにつき合ってること自体が馬鹿馬鹿しくなったと言う訳でございます。こんな方に、いくつもの賞を与えるこの国のアカデミック第一主義にあらためてうんざり、がっかり、ごめんなさい。でも、文学の世界では言葉を軽快に操り観念だけで見事なドラマを成立させる世界があるのも確かです。やはり書き手がしっかりと大地に立ち、今まさに生きてる人間の息遣いを肌で感じ言葉にしていく。そうでないと、読者の心には響いてこないのではなかろうか...

と言う訳で、言葉から絵画に目を転じました。スペインをこよなく愛した堀越千秋さんの画集『堀越千秋画集 千秋千万』を眺めながらにんまりしております。彼は2016年10月に67歳で亡くなりました。スペインで一度、日本で二度ほど会いました。彼のカンテも聴かせてもらいました。カンテと言うより浪花節を聴いてる感じがしましたな(ほとんどスペイン人なんですが根っこはやはり日本人)20代後半からスペインに住み始め、スペインの庶民の中に裸一貫で飛び込み、画壇とは無関係に画きまくった無頼のアーチストでありました。文も絵も精細さと奔放さを持ち合わせた、おいらが好きな放浪の画家の一人です。

それにしても、この画集を出版した大原哲夫さんも大したもんです。赤字覚悟で576ページ、厚さ5センチ、重さ2500グラムの本を出版するんですから、ほんまもんの出版者です。この世の中に絶対に残したいと言う信念で成し得た仕事です...確かに二人の熱量がおいらの魂を今一度熱くさせてくれてます...一度きりの人生、悔いのない生き方、仕事せんといかんですばい皆の衆。

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千秋千万

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