トムプロジェクト

2021/08/02
【第1511回】

今週もコロナとオリンピックで8月の幕が開きました...先週の金曜日、久しぶりに芝居を観てきました。日々3000人を超す感染者が出る中での芝居、やる側も観る側もきついものがありますね。しかも30人ほどしか入らない小劇場、新宿三丁目にある雑遊というホールです。居酒屋さんを経営しながらも芝居をこよなく愛するオーナーが若き演劇人を応援するために提供した夢場所です。今回観た芝居は別役実作「受付」演出は唐組の久保井研さん。男と女の二人芝居でしたがなかなか見応えがありました。別役さんと言えば不条理劇の代名詞みたいに言われてますが、今回の芝居、久保井さんの演出力によりとても分かりやすく面白く仕上げられていました。言葉を頭で考えず、日常のありのままに形に置き換えたものを役者の身体にストンと落とし込んだことが成功の秘訣だったのではと思っています。

おいらは唐十郎さんの芝居が好きで、状況劇場、唐組と半世紀ばかり観てきてはいますが、最近の唐組の演出をしている久保井さんのチカラにより今までとは違った唐さんの魅力を引き出していると思います。観客を見知らぬ世界に誘い込み、猥雑とロマンとポエムで狂乱の際まで追い込み感動の極地まで持って行く唐ワールド...久保井さんの演出はその絡み合いもつれた世界の糸をほどく作業を丁寧にしてる気がします。嘗ての世代とは異なる若い役者には適格な指導演出ではなかろうか。

この「受付」を企画した石渡紫晶さんにも拍手です。いくつになっても、やりたいものをやらねばと実行に移す心意気と志、これを持ち続けてる人は幸せであると同時に、生きてる人間としてキラキラもんですばい!

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相思相愛

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