トムプロジェクト

2019/04/08
【第1206回】

土曜日、南青山にある銕仙会能楽堂で三島由紀夫の「綾の鼓」「卒塔婆小町」を観劇...観ているうちに1970年11月のことが甦ってきました。今から49年前、おいら池袋の小劇場で「卒塔婆小町」に詩人の役で出演していたんでございます。三島由紀夫が自決した直後の上演のため、一時は中止も考えていました。だって、間接侵略に備えるための民間防衛組織(民兵)として、三島由紀夫が結成した軍隊的な集団「楯の会」の人たちが公演中止を訴え殴りこみに来るなんて噂がたっていたもんでビビりまくりの状態でした。おいらは、こんな時こそやってやろうじゃないか!とスタッフ出演者に檄を飛ばしました。この緊張感があって芝居は無事千秋楽を迎えることが出来ました。その頃は、アングラ演劇が世の中にデビューして脚光を浴びた時期でもあり、楯の会との一悶着があったにしても、この事件が芝居になるような時代でありました。事件を起こすことによって、注目を浴びるなんて理不尽なことが堂々とまかり通るけったいなことがたくさんありました。既成の価値観を打ち砕き新しい価値観を生み出そうとする輩がうじゃうじゃと徘徊していた面白おかしい頃の話です...そんなことを思い出しながら観た芝居なんて初めてでございます。

日曜日は善福寺緑地公園にサクラを観に行ってきました。いつものように、サクラの樹の下に思い思いに集まり宴をやっとりました。このところ、友人たちが次々と亡くなっているので、おいらもこのサクラあと何回観れるんやろか...散りゆくサクラの花びらが川に舞い落ちてゆく様を眺めながら思った次第でございます。

散るサクラ 残るサクラも 散るサクラ こんな心境の昨日でした。

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善福寺緑地公園

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