トムプロジェクト

2019/04/15
【第1209回】

昨日、「走狗」の一員であったTちゃんから電話があった。御年74歳になる彼は新劇の劇団をスタートし、その後「走狗」に入団、解散後もアングラ演劇一筋で役者をやり続けている強者だ。Tちゃんの電話は「今朝、神宮外苑散歩してたら可愛い野花があったので、来月11日の田島のお別れ会には行けそうにもないので、彼が住んでたアパートに花を手向けたい...」とのことであった。田島君と激しい演劇論を闘わせ、到底仲がよいとはいえない二人であったが、Tちゃんの田島君に対する深い愛情を感じた。愛すればこそあんなにきつい言葉を突きつけていたのか...亡き人の思いは、葬儀、お墓に行けばいいというのではない。そんなところに顔を出さなくとも、亡き人をいつも想い続けることが故人にとっての最上の喜びではないだろうか...何人かの故人が「死後、葬式も別れの会も不必要」なんて遺言を残しこの世に別れを告げた心境、おいらはよく分かる。現世の諸々のしきたり、何故かお金がまつわることばかり。お金での戒名のランク付けなんてものなんてその最たるものではないか...人は死んでしまえば皆同じ。

一昨日、沢山の人に見送られ舞台美術家・島次郎、黄泉の国へ旅立ちました。

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春の花

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