トムプロジェクト

2020/07/27
【第1367回】

福岡市中央区六本松の「マッドハウスひろ」が7月24日に閉店しました...六本松の片隅で50年、ママの田和玲子さん、そして今年1月に亡くなったご主人大志さんともども時代と共に多士済々なお客に向き合いながら店を続けてきました。金儲けではなく、人との関わりから生まれる活力を自ら楽しみながら切り盛りしていたパワーに圧倒されました。おいらが初めて顔を出したのは47年前かな...貧しい演劇青年に温かい愛情をたっぷりと与えられた記憶が今でも忘れられません。あの日のママの言葉がなければ、海外を放浪し再び演劇の世界に戻ることはなかったと思います。「あなたたちのやってる演劇が世の中を変えるとよ...あんたの芝居も素晴らしい!」今思えば大した芝居もできなかったおいらに声を大にして励ましてくれたママの言葉にどれほどの勇気をもらったことか...そして、この店に来るお客の情にどれほど癒されたことか。博多に戻ることは「ひろ」に顔を出すことであり、この店のお客さんと楽しい時間を過ごすことでもありました。この店に集まるお客は誰しもママの薫陶を受けながらも、個々それぞれがユニークな個性を持っている点です。こんな人達と一献傾ける時間は、まさしく至福のひとときです。

人生は言うまでなく、何処で、誰と、どんな時間を過ごしたかによって大きく左右されます。

この「ひろ」はおいらにとって紛れもない人生の豊かさを手に入れる入り口でもありました。

50年間、お疲れ様でした...そして、ありがとう!

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おつかれさま、そしてありがとう
2020年7月15日西日本新聞にひろの閉店について記事が載りました。

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