トムプロジェクト

2019/11/08
【第1276回】

東京は連日の秋晴れ、気持ちのいい日が続いています。こんな日々であればいいのですが、自然界の神様は、驕れるニンゲンに警鐘を鳴らすかのように災いを引きおこします。早く気付かないと更なる天災が年を追う事にやってくることを覚悟せねばなりません。

昨日、六本木俳優座劇場で「風を打つ」、初日を迎えることが出来ました。3年前に上演した「静かな海へ~MINAMATA」を踏まえ、再度、水俣に挑戦しました。水俣は、まさしく経済優先社会のなかで犯した人災です。人間関係が崩壊し街が荒んでいく様は、東日本大震災の構図と同じです。水俣もわれわれが決して忘れてならない言葉です。さて、今回の芝居、作・演出のふたくちさん、キャストの皆さん、そして舞台を支えるスタッフの総力戦で素敵な芝居が仕上がったと思います。水俣を全面に押し出すのではなく、家族の再生、町の復興に苦悩し尽力する姿を描いた結果として、水俣病なるものが、まるで透かし絵のように浮かび上がってくる戯曲、演出、俳優の演技が功を奏したと言えるのではなかろうか...芝居は生き物です。劇場に溢れる熱を感じたときにこそ、プロデューサー冥利に尽きます。

まだ始まったばかり、この生まれた我が子が順調に育ち、日本各地を旅していろんな人達と出会い、格差無き街や村になれば芝居も捨てたもんじゃございません。

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そろそろ色づき始めました

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