トムプロジェクト

2021/01/14
【第1433回】

綿引勝彦さんが亡くなりました...トムでは2009年に「逝った男の残したものは」に出演していただきました。あのこわもての顔とは裏腹に、とってもナイーブで優しい役者さんでした。舞台出身の役者さんだけあって芝居に対する厳しさも人一倍強いものがありました。今でも熊本の旅公演で、お酒を飲みながら馬刺しに舌鼓を打ってる嬉しそうな笑顔が忘れられません。悪役から優しいお父さん役までの幅広い演技は、綿引さんの一見人を寄せ付けない風貌を武器にしながら、しっかりと人間観察をしていたんだと思います。2008年にトム・プロジェクトが第43回紀伊国屋演劇賞団体賞を受賞した時に、奥様でもある樫山文枝さんも個人賞を受賞され、受賞会場で共に喜んだ日も良く覚えています。そして受賞から数日後、綿引さんから美しい花が送られてきました。デンドロビウムというラン科の花なんですが、なんとなんと毎年春の訪れとともに愛らしい花を咲かせてくれるんです。肥料も与えず水だけで11年間トムのベランダに今尚鎮座しております。その生命力、チカラ強さは綿引さんと同じだなとおいらなりに感心していました...なのに、逝ってしまったんですね。おいらと同学年であっただけに同時代の話も出来た人でした。でも、これだけ役者としての業績を残されれば悔いはなかったのではと思います。死して尚、綿引勝彦の生き方、演技は多くの人の記憶として刻まれ残ることも紛れもない事実です。

今日も綿引さんの笑顔を想い出しながら、会社のベランダのデンドロビウムに水をあげますね...本当にお疲れ様でした。

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おつかれさまでした

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