トムプロジェクト

2019/11/25
【第1282回】

「ジョーカー」観てきました...おいらが今年観た映画のベストワンかな。なんたって主演のホアキン・フェニックスが素晴らしい。登場するなりおいらの心を鷲づかみ、あとは彼の表情、アクションに瞬きする暇がないくらい魅了されてしまいました。改めて、異国の俳優の演技すなわち生き方に厚みを感じます...役になりきると言うより憑依の仕方が尋常ではない。時折踊る姿は、暗黒舞踏の土方巽を彷彿とさせてくれる。歩く姿、静止したときの表情には果てしない想像力を喚起させてくれる。社会の底辺に蠢く人物の、格差社会への鬱憤晴らしの映画とも受け取られないかも知れない映画なのだが、そんな図式を大胆にぶち壊し深く思考せざるを得ない人間ドラマに仕立てる監督トッド・フィリップスの手腕もたいしたものだ。この殺人者に次第に感情移入していく自分が怖いなんて人も随分居るだろうな。

おいらが最近読んだ大正時代のアナキストに通じるものがある。「難波大介・虎ノ門事件」金子文子を扱った「何が私をこうさせたかー獄中記」「久さん伝」に登場する和田久之助、「パンとペン」の堺利彦、社会の不正に憤りを感じ、テロに走る過程に相通じるものがある。

この映画が何故生まれたのか?自国でポピュリズムを標榜するトランプの登場、そして世界の社会不安がこの映画誕生の背景にあることは間違いない。いや、そんな分析を必要としないホアキン・フェニックスの存在そのものに圧倒された幸せな一日でありました。

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今年も魅せます

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