トムプロジェクト

2020/07/31
【第1369回】

芝居がままならない今、芝居を始めた頃を想い出しました。今から54年前に東京で初めて観た芝居、代々木小劇場「ザ・パイロット」作・宮本研、演出・竹内敏晴、代々木にある60人入れば一杯になる倉庫みたいな空間だった。原爆を投下した飛行士の話なのだが、間近に迫る俳優の演技、見事な戯曲に、芝居って面白いだけではなく社会に訴えるチカラが半端じゃないという印象を受けた記憶がある。次に観た新宿花園神社のテント芝居、状況劇場「腰巻お仙・振袖火事の巻」は頭を金槌で殴られたくらいの衝撃があった。役者が放つ肉体の氾濫と唐十郎の詩的な台詞が相まって、まさしく1970年前後の時代背景にマッチした芝居であった気がする。そんな時代に、サラリーマンなんかやってられるかという思いと、海外放浪の旅予定が、帰りの旅費がないという理由で外務省によって拒否されたことにより芝居の世界に首を突っ込むことに相成ったという次第でございます。

芝居の持つ魅力はなんと言っても総合芸術の極致であり、生身の人間の織りなす芸ではないかと思います。そんなアートがコロナでにっちもさっちもいかない状況に陥っています。

今日も、東京の小劇場でのクラスター発生の情報が流されていました。そして遂に東京では新規感染者が463人に達しました。

なのに、国会はお休み、不思議な国です...日本はもはや国の体をなしていないことに呆れるばかりでございます。

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蜜をみっけた

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